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犬が壊したものは家財保険で直せる?火災保険と借家人賠償の対象を確認

犬が壊したものは家財保険で直せる?火災保険と借家人賠償の対象を確認

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留守番から帰ってきたら、テレビが倒れていた。ソファの角が原型をとどめていない。壁紙が、腰の高さまできれいに剥がされている。

叱る気力よりも先に、頭に浮かぶのは修理代のこと。そして

「これ、火災保険(家財保険)って使えるかな?」という思いつきではないでしょうか。

こんなお悩みありませんか?

・犬が壊した家具や家電が、家財保険の補償対象になるのか知りたい
・賃貸で犬が壁や床を傷つけた。借家人賠償責任保険で直せるのか気になる
・保険会社に電話する前に、そもそも見込みがあるのかだけ知っておきたい

【はじめにお読みください】
本記事は、保険会社が公開している公式FAQと国の資料をもとにした一般的な情報整理であり、個別の保険金請求への回答ではありません。補償される・されないは、ご契約の商品・特約の有無・契約時期・事故の状況によって変わります。実際の判断は、必ずご契約の保険会社または代理店にご確認ください。掲載内容は2026年8月10日時点で確認したものです。

先に結論をお伝えすると、犬が壊したものが家財保険で補償される可能性はゼロではありません。

ただし「破損・汚損」を補償する契約になっていることが前提で、そのうえで対象外とされる損害の範囲がかなり広い、というのが公式FAQから読み取れた実際のところでした。順番に確認していきます。

犬が壊した家財は火災保険(家財保険)の対象になる?

まずは持ち家・賃貸を問わず共通する「家財の補償」の話から。ここは保険会社の公式FAQに、はっきりした記載がありました。

分かれ目は「破損・汚損」の補償が付いているかどうか

火災保険は名前のとおり火事に備える保険ですが、多くの商品では「破損・汚損」「不測かつ突発的な事故」といった補償を付けるかどうかを選べます。犬による被害が問題になるのは、まさにこの部分です。

東京海上日動火災保険の公式FAQでは、ペットによる被害について、「破損等リスク」を補償するタイプの契約であれば補償の対象となるという趣旨の回答が示されています。

出典:東京海上日動火災保険「【火災保険】ペットにより建物に被害が出たり、家財が破損した場合は補償されますか?」 https://faq.tokiomarine-nichido.co.jp/faq/show/6089 (2026-08確認)

損保ジャパンの公式FAQも、ペットによって保険の対象である家財が壊れた場合について、「不測かつ突発的な事故」の特約により補償される場合があるとしています。

ただし同時に、「偶然性にかけるものは支払対象とはなりません」とも明記されています。

出典:損保ジャパン「ペットによって保険の対象である家財が壊れたり、建物に被害が出た場合」 https://faq.sompo-japan.jp/sumai/faq_detail.html?id=80393 (2026-08確認)

ここは読み方が大事なところです!

「犬が壊したから対象外」なのではなく、「その補償を付けているか」「その事故が偶然といえるか」で分かれるという組み立てになっています。

言い換えれば、犬が興奮して走り回った拍子に置物や家電を倒して壊した——といった突発的な一回の事故と、毎日少しずつ噛んで壁紙が剥がれていった——という継続的な損耗とでは、扱いが変わってくる可能性がある、ということです。

「すり傷・かき傷」など外観上の損傷は対象外とされている

そして、犬を飼っている人にとっては残念な記述がこちらです

東京海上日動のFAQには、2025年10月1日以降始期の契約では「建物やその付属物等に生じた、すり傷、かき傷、塗料の剝がれ落ち、落書き、ゆがみ、たわみへこみその他外観上の損傷の損害」は補償対象外である旨が記載されています。

出典:東京海上日動火災保険 公式FAQ(前掲) https://faq.tokiomarine-nichido.co.jp/faq/show/6089 (2026-08確認)

損保ジャパンのFAQでも同様に、すり傷などの外観上の損傷または汚損で、機能に支障がない損害は対象外とされています。

出典:損保ジャパン 公式FAQ(前掲) https://faq.sompo-japan.jp/sumai/faq_detail.html?id=80393 (2026-08確認)

つまり、犬の被害としてもっとも多いであろう「爪でひっかいた床の傷」「噛んで剥がれた壁紙」「柱のかじり跡」は、機能そのものが失われていない限り、対象外とされる可能性が高いということになります。

倒されて画面が割れたテレビと、ひっかき傷だらけのフローリングでは、保険の見方がまったく違うわけです。

なお東京海上日動のFAQでは、家財のうち携帯電話・ノート型パソコン・自転車・コンタクトレンズ・眼鏡等が補償対象外であること、2025年10月1日以降始期の契約ではテレビやディスプレイなどの画像表示装置の損害も対象外となることが記載されています。

「犬にノートパソコンを踏まれた」「テレビを倒された」は、契約時期によっては最初から対象外になりうるということです。

ここは契約年を確認する価値があります。

自己負担額(免責金額)で結局残らないケースがある

補償対象になったとしても、もうひとつ関門があります。自己負担額です。

損保ジャパンのFAQでは、「不測かつ突発的な事故」の自己負担額について、2022年10月1日以降の契約は5万円、2022年9月30日以前の契約は1万円と記載されています。

出典:損保ジャパン 公式FAQ(前掲) https://faq.sompo-japan.jp/sumai/faq_detail.html?id=80393 (2026-08確認)

自己負担額が5万円という契約であれば、修理代が5万円以下の被害は請求しても保険金が出ません。

犬が壊した椅子1脚、破いたクッション、倒したスタンドライト——このあたりは、金額的に最初から届かない可能性が高いということになります。

自己負担額は保険会社・商品・契約時期によって異なります。上記は損保ジャパンの公式FAQに記載された金額であり、他社や他商品にそのまま当てはまるものではありません。ご自身の金額は保険証券または約款でご確認ください。

賃貸で犬が壁や床を傷つけたら?借家人賠償責任は使えるのか

ここからは賃貸にお住まいの方向けの話です

「大家さんへの弁償なら借家人賠償責任保険があるはず」と考えたくなりますが、この保険には対象事故がはっきり決まっていました。

借家人賠償責任の対象は「火災・破裂爆発・水濡れ」

賃貸契約とセットで入る火災保険には、たいてい借家人賠償責任の補償が付いています。ただし、その対象は限定されています。

日新火災「お部屋を借りるときの保険」の公式ページでは、対象となる事故として火災、破裂・爆発(気体または蒸気の急激な膨張を伴う破壊またはその現象)、給排水設備に生じた事故に伴う漏水・放水等による水ぬれが挙げられています。

そして同ページには、壁紙破損や障子破き等について「火災、破裂・爆発、漏水事故以外は補償されません」と明記されていました。

出典:日新火災海上保険「お部屋を借りるときの保険|借家人賠償責任(示談交渉サービス付)」 https://direct.nisshinfire.co.jp/oheya/coverage/fire-legal-liability.html (2026-08確認)

犬が壁紙を破いた、襖を破った——これは火災でも爆発でも漏水でもありません。

つまり、借家人賠償責任の補償では出ない、というのが公式ページの記載から読み取れる答えでした。ここは期待していた方には申し訳ない結論ですが、条文の作りとしてそうなっています。

国のガイドラインでは「ペットによるキズ・臭いは賃借人負担」とされている

では退去時、その傷はどう扱われるのか。国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」に、ペットについての記載があります。

同ガイドラインの別表では、「飼育ペットによる柱等のキズ・臭い」が、賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)に分類されています。考え方として、次のように書かれています。

>特に、共同住宅におけるペット飼育は未だ一般的ではなく、ペットの躾や尿の後始末などの問題でもあることから、ペットにより柱、クロス等にキズが付いたり臭いが付着している場合は賃借人負担と判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件でのペットの飼育が禁じられている場合は、用法違反にあたるものと考えられる。

出典:国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf (2026-08確認・別表1)

保険では出ない、そして原状回復では借主負担と判断される場合が多い。犬による壁や柱の傷は、この2つが重なる領域にあるということになります。

なお同ガイドラインでは、賃借人の負担について設備等の経過年数を考慮し、年数が経つほど負担割合を減らすのが適当だという考え方も示されています。請求額の妥当性を確認したいときは、このガイドラインが手元の判断材料になります。

個人賠償責任保険は「借りている部屋」には使えない

もうひとつ、名前が似ていて混同しやすいのが個人賠償責任の補償です。

日新火災の公式ページでは、個人賠償責任で補償される例として「散歩中リードが外れ、ペットが通行人を噛んでケガをさせてしまった」といったケースが挙げられています。

犬に関係する補償として、ここは知っておく価値がありそうです!

一方で、「友人から借りたゲーム機のコントローラーを誤って床に落として、壊してしまった」という例については、「被保険者が使用または管理する他人の財物は補償されません」と明記されています。

出典:日新火災海上保険「お部屋を借りるときの保険|個人賠償責任」 https://direct.nisshinfire.co.jp/oheya/coverage/liability.html (2026-08-10確認)

賃貸で借りている部屋は、まさに「自分が使用・管理している他人の財物」にあたります。犬が室内を傷つけたケースに個人賠償責任を使うという発想は、この記載を見る限り成り立ちにくいということになります。

いっぽうで、犬が他人の持ち物を壊した・他人にケガをさせた場合には、個人賠償責任が効いてくる場面がある。ここは押さえておきたい区別です。

犬の被害に備えるためにできること

ここまでの内容を、実際の行動に落とし込みます。保険金請求の可否そのものではなく、確認の手順と予防の話です。

まず保険証券で3つだけ確認する

保険会社に電話する前に、証券や約款で見ておくと話が早い項目が3つあります。

  1. 「破損・汚損」または「不測かつ突発的な事故」の補償が付いているか(付いていなければ、犬による被害はそもそも対象外です)
  2. 自己負担額(免責金額)はいくらか(修理代がこの金額以下なら請求しても出ません)
  3. 契約の始期はいつか(東京海上日動のFAQのように、契約時期によって対象外の範囲が変わる商品があります)

この3点が分かった状態で問い合わせれば、「その補償は付いていますか?」から始めるより、ずっと具体的な回答が返ってきます。

壊されない環境をつくるほうが、結局は安く済む

身も蓋もない言い方になりますが、公式FAQを読み込んでたどり着くのは結局この結論です。すり傷・かじり跡は保険では出にくく、退去時は借主負担と判断される場合が多い。

だとすれば、費用対効果がいちばん高いのは事前の対策ということになります。

留守番中の行動範囲を区切るケージやゲート。壁の下半分を守る保護シート。床を守るマットやラグ。噛んで壊されて困るものを、そもそも届く場所に置かないこと。どれも派手さはありませんが、退去時の請求額と比べれば安いものです。

室内のキズ・かじり対策に使われている用品を見てみる↓

※室内での一般的なキズ・汚れ対策用品の紹介です。これらを使用することで保険の補償対象になったり、退去時の原状回復費用が請求されなくなることを保証するものではありません。

判断に迷ったら、事故サポート窓口や代理店に確認する

損保ジャパンのFAQには、具体的な補償の可否は「ご契約の内容や被害が発生した時の状況によって異なる」ため、事故サポートセンターまたは取扱代理店へ相談するようにという趣旨の案内があります。

出典:損保ジャパン 公式FAQ(前掲) https://faq.sompo-japan.jp/sumai/faq_detail.html?id=80393 (2026-08-10確認)

問い合わせただけで保険料が上がることはありません。

「これは対象になりそうですか」と聞くだけであれば、証券番号を聞かれないこともあります。不安な場合は一度相談することをおすすめします。

ただし、実際に保険が下りるかどうかは、保険会社の審査を受ける必要があります。審査を希望する場合は、壊れた物の写真を撮っておく、壊れた日と状況をメモしておく——この2つをしてから連絡すると、話がスムーズに進みます。

犬が壊したものと家財保険 まとめ

保険会社の公式FAQと国土交通省の資料から確認できたことを整理します。

  • 犬が壊した家財が補償される可能性はある。ただし「破損・汚損」「不測かつ突発的な事故」の補償を付けている契約であることが前提(東京海上日動・損保ジャパンの公式FAQ)
  • すり傷・かき傷など外観上の損傷で機能に支障がないものは、対象外とされている。東京海上日動は2025年10月1日以降始期の契約について、すり傷・かき傷・塗料の剝がれ落ち等を対象外と明記
  • 自己負担額の壁がある。損保ジャパンの場合、「不測かつ突発的な事故」の自己負担額は2022年10月1日以降の契約で5万円
  • 賃貸の借家人賠償責任は、火災・破裂爆発・水濡れが対象。日新火災の公式ページは、壁紙破損や障子破き等について「火災、破裂・爆発、漏水事故以外は補償されません」と明記している
  • 国土交通省のガイドラインでは、飼育ペットによる柱等のキズ・臭いは賃借人負担と判断される場合が多いとされている(別表1)
  • 個人賠償責任は「使用または管理する他人の財物」を補償しないため、借りている部屋の損傷には使いにくい。一方、犬が他人にケガをさせた場合は対象例として挙げられている

犬と暮らしていて壊れないものはない、というのが正直なところだと思います。でも、保険で取り返せる範囲は思ったより狭いのです。

だからこそ、証券の3点確認と、届く場所に置かないという地味な習慣が、いちばん効く備えになります。

【あらためて】
本記事は保険会社の公開情報と国の資料をもとにした一般的な情報整理であり、個別の保険金請求への回答ではありません。補償の可否は、ご契約の商品・特約・契約時期・事故の状況によって異なります。必ずご契約の保険会社または代理店にご確認ください。掲載内容は2026年8月時点のもので、商品改定により変更される場合があります。

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ヒトミ

元銀行員・3児の母。費用対効果を数字で検証しながら、暮らしをラクにする方法を発信しています。